訪問看護情報提供療養費は、訪問看護ステーションが利用者の同意を得て、
市町村・都道府県または指定特定相談支援事業者・指定障害児相談支援事業者、学校、保険医療機関等に対して指定訪問看護に関する情報を提供した場合に支給されます。
訪問看護情報提供療養費(医療保険)の詳細
訪問看護情報提供療養費1は、保健福祉サービスとの有機的な連携を強化し、利用者に対する総合的な在宅療養を推進することを目的として、訪問看護ステーションから市町村若しくは都道府県または指定特定相談支援事業者、指定障害児相談支援事業者への情報提供を評価するものです。
訪問看護情報提供療養費2は、指定訪問看護を利用している利用者が、保育所、認定こども園、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校、又は専修学校(以下、「学校等」という。)に通園又は通学するにあたって、当該学校等における生活を安心して安全に送ることができるよう、訪問看護ステーションと学校等との連携を推進することを目的とするものです。
訪問看護情報提供療養費3は、利用者が保険医療機関、介護老人保健施設又は介護医療院(以下「保険医療機関等」という。)に入院又は入所し、在宅から保険医療機関等へ療養の場所を変更する場合に、訪問看護ステーションと保険医療機関等の実施する看護の有機的な連携を強化し、利用者が安心して療養生活が送ることができるよう、切れ目のない支援と継続した看護の実施を推進することを目的とするものです。
訪問看護情報提供療養費(医療保険)の算定金額
訪問看護情報提供療養費1・・・1500円/月
訪問看護情報提供療養費2・・・1500円/年度
訪問看護情報提供療養費3・・・1500円/月
訪問看護情報提供療養費(医療保険)の算定要件
訪問看護情報提供療養費1の算定要件
- 別表7,8の利用者、精神障害者又はその家族等、18歳未満の児童について、訪問看護ステーションが利用者の同意を得て、利用者の居住地を管轄する市町村、都道府県又は指定特定相談支援事業者、指定障害児相談支援事業者に対してその求めに応じ、指定訪問看護の状況を示す文書を添えて、当該利用者に係る保健福祉サービスに必要な情報を提供した場合に算定します。
- 利用者1人につき、月1回に限り算定します。
訪問看護情報提供療養費2の算定要件
- 18歳未満の超重症児又は準超重症児、18歳未満であって別表7,8の該当者について、訪問看護ステーションが利用者及びその家族等の同意を得て、学校等からの求めに応じて、医療的ケアの実施方法等の指定訪問看護の状況を示す文書を添えて必要な情報を提供した場合に、利用者1人につき各年度1回に限り算定します。
- 入園もしくは入学又は転園若しくは転学等により当該学校等に初めて在籍することとなる月については、当該学校等につき月1回に限り、当該利用者に対する医療的ケアの実施方法等を変更した月については、当該月に1回に限り別に算定できます。
- 同一月に複数の情報提供を行った場合であっても、利用者1人につき月1回に限り算定します。
訪問看護情報提供療養費3の算定要件
- 保険医療機関、介護老人保健施設、介護医療院に入院又は入所し、在宅から保険医療機関、介護老人保健施設、介護医療院へ療養の場所を変更する利用者について、訪問看護ステーションが利用者の同意を得て、指定訪問看護に係る情報を主治医に文書で提供した場合に、利用者1人につき、月1回に限り算定します。
- 当該文書の写しを求めに応じて、入院または入所先の保険医療機関、介護老人保健施設、介護医療院と共有します。
対象者 | 情報提供先 | 情報提供期限 | 算定回数 | |
---|---|---|---|---|
情報提供療養費1 | ・別表7,8の利用者 ・精神障害を有する者又はその家族等 ・18歳未満の児童 | ・指定特定相談支援事業者 ・指定障害児相談支援事業者 | 指定訪問看護を行った日から2週間以内に情報提供すること。 | 1回/月 |
情報提供療養費2 | ・18歳未満の超重症児または準超重症児 ・18歳未満の児童であって別表7、8該当者 | ・保育所、認定こども園、幼稚園 ・小学校、中学校、義務教育学校 ・高等学校、中等教育学校 ・特別支援学校 ・高等専門学校、専修学校 | 指定訪問看護を行った日から2週間以内に情報提供すること。 | 1回/年度 |
情報提供療養費3 | 在宅から保険医療機関、介護老人保健施設、介護医療院に入院、入所する者 | 利用者の診療を担っている在宅の主治医(保険医療機関) | 速やかに情報提供を行うこと。 | 1回/月 |
訪問看護情報提供療養費(医療保険)の注意点
訪問看護情報提供療養費1の注意点
- 保健福祉サービスに必要な情報とは、当該利用者に係る健康教育、健康相談、機能訓練、訪問指導等の保健サービス又はホームヘルプサービス(入浴、洗濯等のサービスも含む。)等の福祉サービスを有効に提供するために必要な情報をいう。
- 指定訪問看護を行った日から2週間以内に、別紙様式1又は2の文書により、利用者の居住地を管轄する市町村、都道府県又は指定特定相談支援事業者、指定障害児相談支援事業者に対して情報を提供した場合に算定する。
- 当該月に介護保険による訪問看護を受けている場合は、算定できません。
訪問看護情報提供療養費2の注意点
- 当該学校等において、当該利用者の医療的ケアの実施等にあたる看護職員と連携するための情報を提供すること。
- 指定訪問看護を行った日から2週間以内に別紙様式3の文書により、学校等に対して情報を提供した場合に算定する。
- 文書を提供する前6か月の期間において、定期的に当該利用者に指定訪問看護を行っている訪問看護ステーションが算定できる。
- 当該学校等の情報提供の依頼者および依頼日については、訪問看護記録書に記載するとともに、当該学校等に対して提供した文書については、その写しを訪問看護記録書に添付しておくこと。
- 当該情報提を提供する訪問看護ステーションの開設主体が、利用者が在籍する学校等の開設主体と同じである場合には、算定できない。
- 1人の利用者に対し、1つの訪問看護ステーションにおいてのみ算定できる。このため、学校等に対して情報の提供を行う場合には、利用者に対し、他の訪問看護ステーションにおいて学校等に対して情報の提供が行われているか確認すること。
- 当該訪問看護情報提供療養費2の前回の算定年月日、入園若しくは入学又は転園若しくは転学等による算定の場合はその旨及び医療的ケアの変更による算定の場合はその旨を、訪問看護療養費明細書に記載すること。
訪問看護情報提供療養費3の注意点
- 訪問看護ステーションは、入院または入所時に、保険医療機関、介護老人保健施設、介護医療院が適切に情報を活用することができるよう、速やかに情報提供を行うこと。
- 指定訪問看護に係る情報を別紙様式4の文書により主治医に提供していること。
- 主治医に対して提供した文書については、その写しを訪問看護記録書に添付しておくこと。
- 利用者が入院または入所する保険医療機関、介護老人保健施設、介護医療院が、訪問看護ステーションと特別の関係にある場合及び主治医の所属する保険医療機関と同一の場合は算定できない。
- 1人の利用者に対し、1つの訪問看護ステーションにおいてのみ算定できる。このため、主治医に対して情報の提供を行う場合には、利用者に対し、他の訪問看護ステーションにおいて主治医に対して情報の提供が行われているか確認すること。
情報提供した月と訪問した月が異なる場合および情報提供先

最後の訪問が先月末だった利用者が、今月入院したから情報提供したよ。今月はまだ訪問していないけど、情報提供療養費3だけ今月、請求できるのかな?
あと、情報提供先って入院先の主治医でいいんだよね?

今月訪問していなくても、訪問看護情報提供療養費3は単独で請求できるよ。
詳しくは下のQ&Aを確認してね。
情報提供先は、入院先じゃなくて、指示書をもらっている在宅の主治医だよ。
介護保険の対象者でも算定できるか

月初から14日間、特別訪問看護指示書で訪問していたけど、そのあとは介護保険で訪問していた利用者が入院したよ。医療保険でも訪問しているから、情報提供療養費3は算定できるかな?

月初に医療保険での訪問実績があっても、入院直前まで介護保険で訪問していたんだよね?
だったら、入院した時点では介護保険の対象者だから、医療保険の加算は算定できないよ。
介護保険の情報提供費はケアマネの加算にあったと思うよ。
Q&A
- Q訪問看護情報提供療養費において、別紙様式以外の様式で情報提供した場合には算定可能か。
- A
原則として別紙様式を用いて情報提供した場合に算定することとなるが、情報提供先の自治体で共通様式が規定されている場合等、別紙様式に示している事項が全て記載されている様式であれば、他の様式を用いることも可能であり、その場合当該別紙様式でなくて差し支えない。
- Q訪問看護情報提供療養費において、関係機関に情報提供を行い、訪問看護情報提供療養費を算定した場合は、主治医に提出する訪問看護報告書にその情報提供先と情報提供日を記入するということでよいか。
- A
よい。また、必要に応じて、情報提供内容についても報告すること。
- Q1人の利用者について、同月に訪問看護情報提供療養費1,2及び3をすべて算定することは可能か。
- A
算定要件を満たしていれば算定可能。
- Q訪問看護情報提供療養費1においては、「市町村等からの求めに応じて」、訪問看護情報提供療養費2においては「学校等からの求めに応じて」とあるが、文書での依頼ではなく電話や口頭での依頼でも算定可能か。
- A
可能。ただし、依頼日と依頼者を訪問看護記録書に記載しておくこと。
- Q訪問看護情報提供療養費2は、例えば小学校の高学年で転校し、当該学校に初めて在籍することになった月に情報提供した場合も算定可能か。
- A
算定できる。
- Q訪問看護情報提供療養費2の算定要件に「文書を提供する前6月の期間において、定期的に当該利用者に指定訪問看護を行っている訪問看護ステーションが算定できる」とあるが、「前6月の期間」とは、具体的にいつからいつの期間か。
- A
文書を提供する日が属する月(当該月を含まない)から遡って6月の期間。例えば、4/10に文書を提供する場合は、前年の10月以降の期間となる。また、定期的な訪問看護が10月中のいずれかの日より開始されていればよい。
- Q訪問看護情報提供療養費2について、退院後、在宅で訪問籍として学校に在籍し、訪問による教育を受けている小児が初めて当該学校に通学を開始した月に、学校における円滑な学校生活に移行できるよう情報提供を行った場合においては算定可能か。
- A
算定できる。
- Q訪問看護情報提供療養費3において、主治医が所属する医療機関と訪問看護ステーションが特別の関係である場合においても算定可能か。
- A
算定可能。ただし、利用者が入院・入所する医療機関と訪問看護ステーションが特別の関係である場合は算定できない。
- Q訪問看護情報提供療養費3において、緊急入院により入院までの時間が短い場合等に、訪問看護ステーションが主治医へ指定訪問看護に係る文書を提供するのと同時に、求めに応じて入院又は入所先の保険医療機関等と共有することは可能と考えてよいか。
- A
よい。
- Q訪問看護情報提供療養費3において、主治医への情報提供を訪問看護報告書で行った場合には算定可能か。
- A
算定できない。訪問看護報告書で記載されている内容だけでなく、継続した看護の実施に向けて必要となる、「ケア時の具体的な方法や留意点」や「継続すべき看護」等の指定訪問看護に係る情報が必要である。
- Q訪問看護情報提供療養費3において、緊急入院等、事前に利用者が入院することを把握できなかった場合に、入院した後に情報提供した場合も算定可能か。
- A
算定できるが、切れ目のない支援と継続した看護の実施を目的とするものであり、入院又は入所を把握した時点で速やかに情報提供すること。
- Q当該月に利用者の居宅において指定訪問看護を行っている訪問看護ステーションが、学校等から委託を受けて、当該学校等において利用者の医療的ケアを行っている場合は、当該訪問看護ステーションからの当該学校等に対する情報提供は、訪問看護情報提供療養費2の算定対象となるか。
- A
算定不可。
- Q18歳の誕生日を迎えた利用者について、医療的ケアの変更等により学校等からの求めに応じて情報提供を行う必要がある場合は、訪問看護情報提供療養費2の算定についてどのように考えればよいか。
- A
当該利用者が18歳に達する日以後最初の3月31日までは算定可。
- Q訪問看護情報提供療養費3について、入院又は入所前に指定訪問看護が行われた日の属する月と保険医療機関に指定訪問看護に係る情報を提供した月が異なる場合、情報を提供した月に当該療養費のみを算定して差し支えないか。
- A
差し支えない。なお、この場合においては、訪問看護療養費明細書の「備考」欄に入院又は入所前の最後に指定訪問看護を行った日付を記載すること。
まとめ
介護保険にはない加算なので、混同することはないと思いますが、要件などを確認しておきましょう。
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